第14話理不尽を感じる日々(食品工場③)

典型的な家族企業だった。当時は創業者の孫で3代目の社長。どこの会社でも同じかもしれないが、社長はたまに現場に顔を出すだけ。来るとなったらおおごとで、周りの社員にも緊張が走る。

ある日「今日は仕事が完了した」と思い早く帰ろうとしたら、「明日は社長が来るから掃除しないとだめよ」とパート社員から一喝。倉庫内のあらゆる場所を掃除させられた。普段は見向きもしない所まで、全力で丁寧に。。

その日は終業時間が24時を回り、やむなく会社の汚い寮に寝泊まりすることとなった。何年も使ってない埃まみれの布団の中で考えた。「自社の社長のために徹底的に掃除するとはなんなんだ」と。

新卒で入ってくる社員は希望をもって入社してくる人が多い。残念ながら半年でその希望は打ちひしがれた。